こまくさ草子 〜院長ブログ〜

2014年8月29日

先週まで、残暑がひときわ厳しいと思っていたら、今週になって一気に秋になった感じですね

潮の満ち干きや女性の月経など、目に見えて月の引力がはっきり影響を与えているものがあるように

おそらく他にもはっきり目には見えないまでも、太陽や天気の影響がわれわれの生活に及んでいるのでしょう

そんな意味で、時候の挨拶から入るというのは、まったく意味がないことでもないのかもしれません

広島の土砂災害の深刻な状況が、連日伝えられています

以前、阪神淡路大震災の時にボランティアで参加された医師から聞きましたが、あの時大勢参加した

救助隊の多くは遺体を収容することにその労力を使ってしまって、まだ生きている人の救出が

遅れてしまったことが、あれだけ大勢の人が亡くなったひとつの要因だったということでした

その後その反省が生かされて、トリアージという聞きなれないフランス語を使うことで、生死の境の人を

選別するという、いかにも批判を受けそうな行為をうまくごまかして、防災対策として勧めてきました

トリアージの重要な点は、死体、またはまだ生きているが救える見込みのない人は、最も後回しにされる

という点です

軽症の人より後回しにされるのです

戦争映画なんかでよくある「俺はもうダメだから、俺のことはいいから置いて行け」とちょっと似てますよね

でも、遺体が目の前にあってもそれを踏みつけにして、他の場所の捜索に行くということは

かなり勇気の要ることですから、それくらいのインパクトは必要なのでしょう

今の広島でも、トリアージは役立ったのでしょうか

亡くなった人の御冥福をお祈り致します